2016年6月30日木曜日

今頃ですが、字幕屋太田直子さんによせて。

ロシア買い付けのことをブログに書くため
いろいろネットで情報収集していて先ほど知りました。

ロシア、ソ連映画の作品をたくさん手掛けてますが
「ボディーガード」などのベタなハリウッド映画の字幕もこなす
太田直子さんが今年1月に亡くなっていました。

5年ほど前、お客様のご紹介で始めてお目にかかったときは
感激しちゃいました。
店主はロシア語学院卒業後、商社に就職した後
「もっとロシア語をものにしたいな~」と留学を試みるのですが
実はロシア映画の字幕翻訳家になりたかったのです。
結局のところどうやって勉強したらよいかも分からず
会社を辞めたものの一か月ほどしか留学できない資金しかなく
いつの間にかそんな夢を持っていたことも忘れていました。
ソ連、ロシア映画を何本か観たことがある方なら
「太田直子」さんの名前は何度も目にしていると思います。
その、あこがれの方とお知り合いになれるとは!

お忙しい仕事の合間をぬって年に一、二度、
お母様やお友達への贈り物にとロシア雑貨を選びに
パルクに遊びに来てくださいました。
その度に私のロシア出張の話を聞いてくれたり
手掛けている作品のエピソードを聞かせてもらったり
どれだけあっても足りないような時間を過ごさせてもらいました。

昨年はアレクセイ・ゲルマン監督「神々のたそがれ」が公開され
太田さんの秀逸な字幕にほれぼれしました!
これに合わせて秋には渋谷ユーロスペースで
ゲルマン監督特集が開催されたので
ずっと見そびれていた「フルスタリョフ、車を!」を鑑賞。
字幕翻訳や内容で「?」なところをメールさせてもらいました。
体調を崩されていたので心配していたのですが
「またお店に行きますね~」とお返事いただき
今度会うときは何を聞こうかな~、と楽しみにしていたのです。

不思議なもので、今年1月に亡くなったと知る
ほんのさっきまでは私の中で太田さんは生きていて
「一緒に観に行きたいお芝居が秋にあるけど
いつごろメールしてみようかな?」と思っていたのです。
ゲルマン監督の世界と太田さんのキャラクターが一緒くたになって
なんだかけむに巻かれたような気持でいます。。。

たくさんの難解なソ連、ロシア映画を
理解できるように翻訳してくれてありがとう!
ご冥福をお祈りしております。





2016年6月29日水曜日

「バンドゥリステⅠ/カテリーナ」再販☆

日本在住のウクライナ民族楽器バンドゥーラ奏者
カテリーナさんのデビュー作、「バンドゥリステⅠ」が
この度再販されました。
2014年に発売された「バンドゥリステⅡ」は
民謡を中心に全編ウクライナの詩と曲で構成され
悲しくも美しいメロディーが印象的な一枚。
一方、「バンドゥリステⅠ」の方は
アヴェ・マリアやアメージング・グレースなど
一度は耳にしたことのある曲も収録され
バンドゥーラという楽器とカテリーナさんの
透明感のある響きにより浸ることのできる一枚になっています。

しばらく在庫切れしていたファーストアルバムの
待望の再販ですよ~♪

国内で積極的に音楽活動を行っています。
ぜひ生の演奏と歌声にも触れてみてください。
カテリーナ・ミュージック」(カテリーナさんの公式サイト)

再販を記念してどちらかのCDをお買い上げの方には
ウクライナのお菓子をプレゼントいたします!
(なくなり次第終了します)

2016年6月28日火曜日

ロシア買い付けの旅☆~モスクワのクラフトビール・バー♪

ここ最近、モスクワに自家製ビールが飲めるカフェが
雨後のタケノコのように増えているとの記事を読んで
ビール好きの店主としては調査しないわけに行きません!

ということで4月の買い付けの時に
モスクワ在住のお姉さんにお付き合い頂いて行ってきました!

ちょっとネットで検索しただけでも30件ほどありましょうか?
「クラフトビール」で検索すると
瓶詰された外国産のビールを出しているカフェもヒットするので
注意が必要です。
私たちが選択したのは地下鉄マヤコフスカヤ駅のほど近く。
「パステルナーク」という名のビア・バー♪
ドア入ってすぐに両替所があるので
何とも言えない俗っぽいエントランスです・・・
パステルナークと言えば
「ドクトル・ジバゴ」で有名なロシアの作家ですが
そういったインテリな雰囲気はまったくありません(笑)
階段を下りて地下へ。
ボードには今日飲めるクラフトビールが書かれています。
この日のロシアオリジナルは4種類。

カウンターのある入り口ホールは
背の高いテーブルと椅子がセッテクングされた
パブタイプの雰囲気のよいお席。

カウンター越しにはいくつもの注ぎ口が!
夢のような光景です♪
キャッシュオン式なのでビールやつまみは
カウンターで注文して都度精算を済ませます。
ビールはその場で待って自分で席に運びましょう。
つまみは出来上がり次第お兄さんが持ってきてくれます。

奥には落ち着いたテーブル席もあります。

ビールに合うポテトやフライ系でかんぱーい!
お料理についてはすっごく美味しい、という感じではないけど
「田舎風ポテト」は揚げたてのほくほくでたまりません!
あと、黒パンをカリカリに揚げたおつまみスナックも
ロシアならではですね!

お年頃の女子が4人集まってとっても素敵な一夜でした☆
ところで・・・ビールの写真が一つもありません!
ロシアでいただくクラフト生ビールに感激して
ぐびぐび飲むのが忙しくて写真撮り忘れました・・・


2016年6月26日日曜日

ロシア買い付けの旅☆~フェドスキノ村へ

あ~、やっとロストフ旅行記が書き終わった!

ということでモスクワ郊外のフェドスキノ村へ
工場見学に行ったことをご紹介したいと思います。
フェドスキノはロシアを代表する工芸品の中でも
ミニアチュール(細密画)のもっとも古い生産地です。
ちょっと長いですが自分自身の忘備録として・・・

1795年、モスクワの商人ピョートル・コロボフは
上流階級で流行していた煙草入れなどの
装飾品を製作するためモスクワからもほど近い
この地に工房を構えました。
コロボフ工房の製品は評判を呼び
より品質の良いものを供給する要望に応えるため
ラッカー製品で当時ヨーロッパで国際的な名声を得ていた
ドイツ、ブラウンシュバイクにある
ヨハン・シュトーブヴァッサー工房の製品を取り寄せ
職人たちと研究を重ね品質向上に努めます。
娘婿のピョートル・ルクチンが工房を引き継ぐと
モスクワから腕利きの職人たちを呼び寄せ
風景、民族的モチーフ、美人画や家族ポートレートなどを
描いた装飾品が大人気となりました。
その名声はロシア皇帝にまで伝わり皇室の紋章である
双頭の鷲のエンブレムを印すことが許されます。
ルクチン工房の製品は皇室御用達の称号を受け
外国の要人への贈り物として重用されました。
ルクチン工房は孫の代まで繁栄しましたが
1904年に閉鎖を余儀なくされます。
1910年に農民となっていた10人の元工房職人によって
細密画工芸製作組合を立ち上げ再び製作に取り掛かります。
1931年には芸術専門学校を創設し技術と伝統を
現代に守り継いでいます。

フェドスキノへは地下鉄灰色線の最北駅
アルトゥフィエヴォから乗り合いバスに乗って行きます。
15席ほどのバスは満員で立ち客もいたので
20人ほどの乗客だったでしょうか?
このバスの終着駅アクサーコヴォは
大きなサナトリウムがある休養村なので
大きな荷物を持った年配のご夫婦や
子供連れなども乗ってにぎやかでした。

ワゴンタイプの乗り合いバスに乗って45分ほど。
フェドスキノ村に着きました。
バス停広場の正面にはこの村の中心、教会があります。

ウチャ川を越える橋を渡るとフェドスキノ村です。
橋の向こうには大きなフェドスキノ工房の建物が見えます。

村のシンボル、ウチャ川。

こちらが200年以上の歴史を誇るフェドスキノ工場の工房と売店、
そしてミュージアムと芸術専門学校も付属しています。

こちらは小箱の土台となるパピエ・マシェという
紙を固めて加工された素材。
ソ連時代に作られたというこの良質な素材のおかげで
工場は成り立っているようです。

専用枠を使って箱の型を作っていきます。

亜麻仁油に浸けてオーブンで乾燥させ、という手順を繰り返し
軽くて丈夫な小箱を作っていきます。


箱の型を作る作業場の隣の部屋には
箱のフタと土台を加工する職人さんたちが働いています。
最初は粗目のやすりで、徐々に細かいやすりで
つるつるの状態にまで磨き上げていきます。

下地に黒色の絵付けをして適当な箇所に
貝殻を加工した螺鈿飾りを埋め込みます。

色を重ねていく過程で何度もニスをかけ、何度も磨き上げ、
奥行きのある輝きを表現します。
最低でも10層以上の手間がかかっているので
ラッカーミニアチュール(ニス塗りの細密画)と言うのだそうです。

工房で働く職人さんたちは
基本的に工房付属の芸術学校を卒業していて
螺鈿細工や油彩などの一通りの技術を習得しているそう。



工房付属のミュージアムスペース。
ロシアには細密画工芸で有名な4つの町があります。
他の3か所は元々聖像画製作で栄えた町で
ソ連時代に職を失った職人たちがその技術を生かして
テンペラ絵具を使用し精巧なミニアチュールを作り上げます。
一方、フェドスキノの細密画には油彩が使われます。
皇室にも認められた程の腕をもつ職人たちは
肖像絵画が隆盛したオランダの作品を師として
レンブラントやフェルメールを手本に腕を磨きました。
自身も職人である工房のガイドさんは
「他の3つのラッカーミニアチュール製作地との決定的な違いは
あちらは生活の中で描かれたイコンが元になっているけど
私たちは美術館に収蔵されている作品が師なの。
なのでフェドスキノは民芸品ではなく美術品なのよ
とおっしゃってました。
職人たちのプライドが詰まったお言葉でした・・・


そんなわけで工房の売店でステキな作品を仕入れてきました。
フェドスキノ村の心ともいえる風景です。

丁寧に磨き上げられてまるでガラスのような透明感です。

ロシア民話「雪娘」は少女のはかなげな美しさにほれぼれ。

こちらはお土産用に売られているプリント物のマグネット。

ブローチのような小品も繊細で一味違います。

2016年6月25日土曜日

『リトアニアフェア』~7月2日(土)まで延長します☆

ご好評につきパルク店内で開催中の『リトアニアフェア』を
7月2日(土)まで延長します!

ここだけのハナシ、7月3日にイベントがあるので
あまり店内を動かしたくなくて・・・(笑)

大人気のリトアニアハーブティーの特別価格販売も
7月2日までですよ!

アルヴィタスさんの生はちみつは
残りわずかとなっています!

優しく甘い香りの蜜蝋キャンドルたち!

大変ご好評をいただいています木製コースター!

意外に難しいと評判の木製パズルはインテリアにも!

ヘラジカのマッサージ器。
とぼけたお顔にいやされますね!

「カタキオスク」デザインのグリーティングカードたち!



リトアニア産リネンはヨーロッパでも極上品として
人気があります。



2016年6月23日木曜日

ロシア買い付けの旅☆ロストフ・ベリーキーへ~ネロ湖畔の修道院☆

フィニフチ工場(のミュージアム)の見学を終え
なんだか未消化な気分だったので
ネロ湖畔でも歩いてホテルまで帰ろうかとプラプラしていたら
どどーんと輝く修道院が見えてきました。

スパソ・ヤコブレフスキー=ドミトリエフ修道院。
14世紀後半にロストフの府主教を務めたイアコフにより
1389年に建立。
ウィキ(ロシア語版)情報によると
18世紀後半にこの修道院でフィニフチの技法を生かした
イコン製造が花開いた、とありました。
フィニフチ製造がロストフに誕生したことには
当時の府主教、アルセニーが大きく関わっています。
古くなってしまった聖像画の再生、修復と
新たな技法による聖像画作成のため
府主教は多くの聖像画家をロストフに招待し、
その中にフィニフチ職人もいました。
スパソ・ヤコブレフスキー=ドミトリエフ修道院は
ロシア中から巡礼者が集まる指折りの名所で
お土産、お守りとしてフィニフチ技法で描かれた聖像画は
飛ぶように売れたのだそうです。

遠くからも金色に輝く丸屋根が美しく輝いて見えました!



ネロ湖を望むように展望台があり、
有料でこの塔に上ることができます。

塔からの絶景☆
今年は雪が少なく暖冬ということで
4月のロストフは雪はすっかり消えていましたが
ネロ湖はまだ厚い氷に閉ざされていました。
写真で見るとちょっと寒々しい光景ですが
この曇り空ときりっとした空気がなんともロシアらしいのです。






一番深いところでも3.5mほどの水深しかないというネロ湖。
小さくてぜんぜん見えないかもしれませんが
釣り人があちこちに!


調べもしていなかった名所を偶然観光できて
寄り道も悪くないな、と思いました♪