2013年12月26日木曜日

買付け⑪博物館(モスクワ)1

ちょうど買付けに行く前、
すばらしい特別展示会がモスクワで開かれていることを
教えていただいたので行ってみました。
私がモスクワで宿泊している家からは徒歩40分。
祭日で人通りの少ないモスクワの街を歩くには
ちょうどよいお散歩となりました。

全ロシア美術工芸博物館で開かれた
「ロシアスタイルの至宝展」と題したこの展示会は
マトリョーシカが生まれるきっかけを作った
アブラムツェヴォ芸術運動の作品を一堂に紹介する
(私には)大興奮の展覧会。
ロシアの富豪によってマトリョーシカが開発され、
その後どのように世界に受け入れられていったのか。
ご興味のある方は
現在ロシア・フォークロア談話会「なろうど」にて
熊野谷葉子さん連載中の「マトリョーシカのルーツを探して」を
ぜひご一読ください。

「全ロシア美術工芸博物館」はサドーバヤ環状道路沿いの
地下鉄駅からちょっと遠い場所にあります。

1階にはチケット売り場、クローク、ミュージアムショップがあり
展示は2階から始まります。
ここは以前は「何にもない」と良い評判を聞きませんでしたが
ここ数年でコレクションをまとめ
「人を呼べる」博物館に生まれ変わろうとしているようです。
学芸員のおばあさんたちもとっても親切で
ちょっとした質問などにもこころよく応えてくれました。

「ロシアスタイルの至宝」展示コーナー。
アブラムツェヴォ芸術村の仕事を中心に
19世紀末のインテリア民芸作品を紹介しています。

大きなホールに十分な展示品が並んでいましたが
実はもう一つ写真撮影禁止の展示室があり
そちらでは細かな木彫をもっと間近に見ることができました。

ブルーベリがデザインした陶器製だんろ。
実はこれ、1900年のパリ万博に出品されたオリジナル。
世界で初めて「マトリョーシカ」が紹介された
同じ万博会場にいっしょに展示されたものです。

1902年にサンクト・ペテルブルグで開かれた手工業展のようす。
左隅にマトリョーシカが映っているのが見えるでしょうか?
1900年のパリ万博でもこのように他の手工業製品と一緒に
マトリョーシカが並んでいたといわれています。
「万国博覧会」は世界中の人に向けて
自国の製品を紹介し展示販売する場でした。
当時のロシアの手工業技術を芸術品に高め
外国へも「売れる」商品としてマトリョーシカも展示されていました。
パリ万博以降、特にフランスで大マトリョーシカブームが起こり
アブラムツェヴォでは生産に追われたそうです。